2010年02月26日

神戸新聞に書評が載りました(2010年2月21日 日曜日)

0000003604-000000.jpg 大森正夫 著 「京都の空間遺産」

神戸人にとって京都はあこがれです。
都に対する人々の重いが共有され、誇りが醸成されています。
歴史文化の継続性がゆるぎなく保たれているのがうらやましく、
わが街もこのようでありたいと願うからでしょう。

歴史文化への理解や愛着を深め、さらなる精神的満足を得たいと思っている方には
この本の一読をお勧めします。
京都の魅力を、金閣寺などの八つの社寺建築の空間美を立体的に解析しながら、
時空を超えた宇宙と人間の情念を描き出す、
見たこともない立体映像ドラマを体験できるからです。

例えば東寺のくだりでは、屋根の稜線が空に聖線を発し、
精気を都の中空へ勢いよく放っていく。
二元の世界から四次元の宇宙を創り出す壮大なパノラマ。
張り詰めた躍動感に感動します。

平安時代より、均衡が壊れ、調和を乱すところに「儚さ」「うつろい」という
それまでにはない新しい美意識が生まれました。
それを強烈に明示していく愛着の概念が、日本の美の文化を創ったと定義しつつ、
日本人の「わ」の美の本性がどのようにして、創る行為の中に織り込まれていったかを、
まるで夢の世界をのぞき見るように発想豊かな文体でつづられています。

「日本の美とは、ありのままの自然をつくることでもない、
 あるべき自然をつくることでもない、
 あるべきように自然をつくることでもない。
『“あるべきやうわ”は何か』を問える自然をつくることである」

「侘びも寂びも無常観とは無縁でない。しかし、うつろいは時ではない。
 光も色も形も姿も、ひと時の映りを写し、移されていく虚ろなもの。
 その“うつろさ”にこそ生の息吹を見定め、とらえる技芸に仕立てたのである。
 その『しつらい』が開花した時、『うつろい』は開花する」

造形する者にとって大事なことも示唆しています。
異なるものの「合わせ」「揃え」「見立て」の妙技で二つとない世界をつくること、
新たな概念が至極を照明するだけの絶対空間で現れるまでがんばること。
これがまさに生成の源であると。

日本の多元的芸術文化を発信する神戸ビエンナーレのディレクターを務め、
学者であり、建築家でもある著者からの檄文です。

つまり、この本は建築に携わる者、芸術に携わる者、みんなが生存の夢を託す
絶対のかたちを目指して大いに心せよという、厳かな“燃え”の本でもあります。
出会ったことに感謝です。
                           建築家 瀬戸本 淳

2010年2月21日(日)神戸新聞 掲載 書評
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2008年04月18日

父(現在90才)のふるさとを少し散歩しました。

広島県安芸の江田島、イギリス様式の元海軍兵学校(今の第一術科学校)のあたりです。
絵の修行をするために京都に行くまでここで育ちました。

学校の北側にりっぱな大屋根をもつお寺「教法寺」があります。
ここから江田島の浄土真宗的な美しい景色を眺めることができます。
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父の体に染み込んでいるように思える「空くう」という観念は、この地の
熱心な真宗門徒の生活規範「風儀」によって育まれたに違いありません。
涙が出そうになるくらい美しい景色です。感動しました。
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江田島にも異人館がありました。
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屋根に犬が2匹いました?
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小用から高速船に乗って広島の宇品へ(40分の旅)
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宇品から広島駅まで広電のLRTに乗りました。45分間街を楽しみました。
150円です。LRTは人も街も輝かせます。
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ラベル:江田島
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2007年05月12日

福祉は文化(兵庫県建築設計監理協会の総会にて)

先日、日経新聞に連載されていた話です。

静岡県で「ねむの木学園」という身体の不自由な子供たちの施設を運営している
元女優の宮城まり子さんは、
子どもたちの音楽や絵の教育に力を注いでいます。
日本だけでなく、海外でも子どもたちの作品展を開催したりして、
子どもの創造性や可能性を伸ばす教育を行っています。

彼女の言っている言葉がよかった。
 
 福祉っていうと、社会事業とか慈善事業とか書かれる。
 これはもういやです。
 文化の進んだ国ほど福祉のレベルが高いような気がする。
 福祉は文化です。
 私は文化活動をしている、そう思っています。


と述べています。  
                 
福祉も文化も一人ひとりの人間が、どんなにハンディをもった人も
幸せで、心豊かな自己実現をめざすものであるとするなら、
福祉と文化は決して別のものではありません。

以前、スウェーデンに行った時、美しいお城のような建物を指さして、
バスガイドがあれは何の建物だと思いますか、と言いました。
だれかの宮殿だと思ったのですが、実はそれは老人ホームだったのです。
びっくりしました。

橋本明さんに聞いた話ですが、スウェーデンでは、子どもの施設をはじめ
さまざまな生活施設は他の人々の住宅よりも、より素晴らしい家具や、
インテリアデザインで満たされているそうです。
それは、わが家にいる子ども以上に、傷ついた子どもたちの住んでいる場所は、
文化の香り豊かな環境づくりをしてゆかなければならない。
そうして、その子の心を満たしていかなければ不公平である。
という考え方に基づいていると言います。

福祉にこそ文化の香りが必要だということです。
そして私たちの建築文化のありようが問われるところです・・・
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2007年04月22日

神戸インターナショナルヒゲクラブより、家庭養護促進協会の橋本明事務局長さんに久しぶりにまとまったドネーションをさせていただきました。

いろんな心にしみるお話もお聞きしました。

橋本さんの執筆された「親子・家族、そして人間を見つめて」
のご本をいただきました。
今、読んでいるところです。

『たとえば、重いハンディキャップをもっていたり、難病でほとんどの時間、
誰かが傍らにいないと生命を維持することすらできない人の場合など・・・
・・・・・・しかし家族や介護者は、その人がそんな状態でそこに存在することそのものに
深い意味を感じていることがあります。
ただ生きている、目の前に存在していることに喜びや心の張り合いや感謝の念をすら、
いだいているのです・・・・・・』

神のように完全な人間にまだ会ったことがありません。
ということは、みんな何らかの欠点をもった人間ですが、なにもしなくても
生まれている限りだれかに必要なのですね。
橋本さん、ありがとうございました。

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2007年01月11日

「大楽のすまいに心の空間を」

「大楽」とは歓喜に通じる深い楽しみのことです。
これがあると人生は確実に良い方向に流れていくそうです。

「楽」を調べて見ると、
 @ 心身が安らかでたのしいこと
   「ラク」はオランダ語の「ラクニフケル」から来ているとありました。
    ほんとうでしょうか。オランダ人が「ラク」を持って来たのでしょうか。
    日本がオランダに輸出したのではないでしょうか。調べてみる必要があります。    
 A 好むこと、愛すること    
    徒然草に「楽というはこのみ愛する事なり」とありますが、
    ほんとうに良い言葉です。
 B たやすいこと、やさしいこと
    楽観の「ラク」です。なにもそんなに心配しなくても成りゆきにまかせて
    いたらなんとかなるよ というのもありがたい言葉です。
 C 楽焼、楽の茶碗 
 D 千秋楽の略「楽日」
 E ガク、音による芸術
    
全部そろうと五感を楽しむ住まいになります。
 「楽あれば苦あり」「楽は苦の種(たね)苦は楽の種」
とても気が楽になりました。

2006_03_310009.JPG ←自作の絵
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2006年12月28日

建築・住まいは心の棲み家です

美しい国にしていくためには、まず心を美しく磨く必要があります。
そんな意味でも、すまいの中に、心の空間を創っていかなければならないと思っています。
形から入っても良いのではないかと考えています。
いろんな工夫でいろんな形の空間が生まれることでしょう。

花一輪の・・・ お香をたきしめる・・・ 掛軸をかける・・・
絵を、小さなオブジェを・・・ 祈りの空間を・・・

“棲み家”は「住処」「住家」「栖処」などとも書きますが、広辞苑では
生物が巣を定めたところで生活を営むことで
 @巣を作って生活する
 A男が女のもとにかよって夫婦のまじわりをする
 B居を定めてそこで生活する
 Cそのところに永くとどまる          と書いてあります。

私たちは本来の巣のありようをたどりながら、子供の豊かな成長を願いながら、
これからの心の空間を大いに提案し、創っていきたいと考えています。

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今年は、いろいろお世話になりほんとうにありがとうございました。
来年がみんなで大いに心を磨く良い年になりますよう祈念いたしております


  
posted by セトモト at 14:47| 心の棲み家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月08日

私たちはどんな事務所なのでしょうか

勇気、挑戦、情熱あふれる事務所です。
なるほどとうなずける事務所です、
ただひとつのユニークな事務所です。
質の高いオンリーワンをめざしている事務所です。
使命と夢を語りながら、職人建築家をめざしている事務所です。
満足を提供する事務所です。
よかったを提供する事務所です。
ニーズを形にする事務所です。
幸せをかたちにする事務所です。
夢をかたちにする事務所です。
神が宿る神聖な土地に神性な建築をつくる事務所です。
心地よさをかたちにする事務所です。
よく生きるをかたちにする事務所です。
信頼と愛情の小宇宙をつくります。
光ろうとする魂の空間をつくります。
純粋でつつましい空間をつくります。
私たちは建築を心の棲み家と考えています。
他にどんな言葉があるでしょう。

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posted by セトモト at 12:00| 心の棲み家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月01日

人間のつくったものは何かを象徴した形

たとえば写真のように、
春日灯籠の上に火炎のような、魂のような形のものが乗っています。

2006_1026??〓@????????0021.JPG  ほうじゅ(宝珠)と呼ぶそうです。






一切の願望をかなえてくれる如意宝珠(にょいほうじゅ)をかたどったものと
されていますが、やっぱり魂の形に見えます。

高欄(こうらん)の上に乗っている擬宝珠(ぎぼし)もネギ坊主のような形で、
独特の臭気で魔をはらうのでしょうか。

giboshi.jpg やはり魂のような形に見えます。






光を発する玉(魂)も人々の幸福を願っているように感じて、
とても味わい深いものですね。

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posted by セトモト at 10:53| 心の棲み家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする